タイの商標不使用取消に関する画期的審決:保守的傾向からの待ち望んだ変化
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タイの商標不使用取消に関する画期的審決:保守的傾向からの待ち望んだ変化

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Satyapon & Partners法律事務所のKritsana MingtongkhumおよびShantanu Ajit Tambeが重要なタイの判例法を検証し、商標不使用取消に対する保守的アプローチからの待望の脱却を図ります。

タイでは不使用を根拠とした商標取消が日常茶飯事です。しかしながら、不使用による登録商標の取消が実際に成功するかどうかは、申立人が直面する大きな課題です。不使用取消の審決の成功率が著しく低いのには、申立人が利害関係人であることの証明、申立人にとって厳格な証拠のハードル、登録商標の取消に対する商標委員会の保守的な姿勢をはじめ、いくつもの理由があります。

不使用取消に関する法規定は、タイ商標法のSection 63で次のように定められています。“Any interested person or the Registrar may petition the Board to cancel a trademark registration if it is proved that, at the time of registration, the owner of the trademark had no bona fide intention to use the trademark with the goods for which it was registered and there was no bona fide use whatsoever of the trademark for such goods or that during the three years prior to the petition for cancellation there was no bona fide use of the trademark for the goods for which it was registered unless the owner can prove that such non-use was due to special circumstances in the trade and not to an intention not to use or to abandon the trademark for the goods for which it was registered.”(「利害関係人または登記官は、登録時、商標の所有者が善意の意思を持たずに登録対象の物品に商標を使用せず、かかる物品の商標をいかなる形であれ善意で使用しなかったこと、または取消を申し立てる前の3年間に登録対象の物品に商標を善意で使用しなかったことが証明される場合、商標委員会に商標登録の取消を申し立てることができる。ただし、所有者がかかる不使用の理由が特別な取引状況であって、登録対象の物品の商標を使用しない意思またはその商標を放棄する意思ではなかったと証明できないことを条件とする」)

登録商標を取り消すためには、申立人は以下の事項を証明する必要があります。

1. 申立人が利害関係人であること。

2. 登録時、登録人が登録対象の物品に善意で商標を使用する意思を持っておらず、当該物品の商標をいかなる形でも善意で使用しなかったこと。

3. 取消を申し立てる前の3年間に、登録対象の物品に商標を善意で使用しなかったこと。

タイの不使用取消において、申立人にとって最大の課題は、利害関係人であることを証明することです。根拠および証拠の実態を審査する前でも、商標委員会は最初に、申立人が不使用取消を申し立てる権利を有するか否かを精査します。タイ商標法では、“interested person”(「利害関係人」)を定義していませんが、監督機関では一般的に、利害関係人を「登録商標が記録から取り消される場合に影響を受ける権利を有する人物を含む」と解釈しています。

商標委員会が、申立人が利害関係人であることに納得した後、商標委員会は申立人によって提出された証拠を審査します。他の国や地域とは異なり、タイの法律では、登録後に商標を使用したことを証明するための宣誓供述書またはその他の証拠の提出を登録人に要求しません。その結果、登録商標の不使用の立証責任は申立人が負います。証拠の重要な要素の一つは、市場調査報告書です。これは、登録された物品またはサービスを対象に関連オンライン/オフラインチャネルで幅広く調査を行っても、商標の使用が発見されなかった実態の強化に役立ちます。登録された物品が医薬品または化粧品に関連する場合、申立人は、物品の登録商標を使用する前に登録人が必要な承認を得ていたか否かを確認するために、タイ保健省食品医薬品局(FDA)からの公式文書を提出する場合もあります。

登録人は、商標の使用を妨げた「特別な取引状況」が存在すること、またはかかる不使用が商標を使用しない意思またはその商標を放棄する意思はなかったことを抗弁する権利を有します。広義の解釈では、こうした特別な状況には、貿易規制、不安定な市況または経済状態、戦争または感染症の流行などが含まれます。しかしながら、一般的に、登録人が商標を使用しない意思または商標を放棄する意思を持たなかったことを示した場合、商標委員会は、登録人が商標を使用することを妨げた特別な状況が存在したか否かを考慮することなく、申立を取り消すという保守的な傾向が示されていました。

中央知的財産国際貿易(CIPIT)裁判所の不使用取消に関する判決

この訴訟では、申立人(化粧品および医薬品の製造・販売に携わる大手日本企業)は、クラス3の化粧品の商標をタイで登録する意思がありました。ところが、タイ企業の名前で同じ単語(表現方法は異なる)を含む商標が過去に登録されていたことを理由に、申立人の商標出願は却下されました。過去の商標は、2009年からタイで登録されていました。不使用取消を申し立てる前に、申立人は登録人が登録された物品に関連する商標を使用していたか否かを発見するために、2015年と2017年に市場調査を行いました。市場調査と並行して、申立人は、登録商標の対象物品について登録人がFDAの承認を得ていなかったという正式な回答もタイFDAから得ていました。

その結果、申立人は、2018年2月にタイ商標委員会に不使用取消を申し立てました。不使用取消申立に対応して、登録人は、マーケティング管理および生産計画の最終段階であるため、登録商標の使用をまだ開始していなかったとだけ言明しました。商標委員会は、予想通りに不使用取消申立を却下し、登録人の言い分を支持する決定を下しました。申立人は、商標委員会の決定を不服として、CIPIT裁判所に上訴しました。

審理中、CIPIT裁判所は、登録時に登録人が登録対象の物品に商標を使用する善意の意思がなかったことを証明したか否かが争点であると述べました。あるいは、当該物品の登録商標の善意による使用がなかったこと、または取消を申し立てる前の3年間に、登録対象の物品に商標を善意で使用しなかったことを証明する必要もありました。

市場調査、FDA確認書および商標使用を開始していなかったことを認める登録人の対応の精査後、CIPIT裁判所は2021年11月に判決を下しました。同裁判所は、2009年に商標を登録し、2018年に不使用取消が申し立てられるまで、登録人は登録商標を使用しないという正当な理由を提供していなかったと判断しました。CIPIT裁判所は、登録人の商標使用前の使用計画準備中という実態を否認し、商標を善意で使用しておらず、法律に準拠した要求に従い、登録された物品に関して商標を善意で使用する意思を証明しなかったと判断しました。さらに、登録人は、不使用取消が申し立てられた日付から遡って3年以内に、登録商標を実際に使用したという証拠も提出していませんでした。

ここで重要なのは、登録人側の抗弁において、登録された物品に関して商標を放棄する意思またはその商標を使用しない意思はなかったとも言明していたことです。しかし、CIPIT裁判所はこの実態を否認し、法規に従い、登録された所有者は以下の条件を両方とも十分に証明しなければならないと判断しました。

(1) 商標の不使用の原因が特別な取引状況であったこと。

(2) 物品の商標を使用しない意思またはその商標を放棄する意思によるものではなかったこと。

したがって、登録人は、商標の使用を妨げる特別な取引状況を示すことなく、商標を放棄する意思または商標を使用しない意思を持っていなかったと簡単に言明することができませんでした。また、CIPIT裁判所は、「特別な状況」という用語の意味は、輸入規制や政府による禁止命令などの国内の全体的な事業活動に影響を与える条件であって、マーケティングや製造計画などの個々の登録人による個人的な判断ではないと解釈しました。

上記の根拠に基づき、CIPIT裁判所はタイ商標委員会の判断を覆し、不使用を根拠とする登録人の商標の取消を認めました。

登録人は、この判決に対する控訴を特別控訴裁判所に申し立てましたが、控訴裁判所は、CIPIT裁判所が2022年10月に下した判決を支持し、不使用に基づく商標の取消を認めました。現在は最高裁判所で審理中であり、この問題の最終判決はまもなく下されると予想されています。

上記の判決では、特に、第三者が誠実に独自の商標をタイで使用する権利に影響を与える場合、裁判所は第三者が独自の登録商標を公表しないでおくことを許可しないことが明確に示唆されています。裁判所は、強固な法的根拠を与え、異議申立の裏付けとなる証拠を提出したり、使用を妨げる特別な状況の存在を証明したりすることなく、商標を使用する意思および商標を放棄しない意思があるという、登録人の根拠のない異議申立を却下しました。

しかしながら、重要な問題は解決されず残ったままです。裁判所は、タイFDAによる公式文書がない場合でも同じ判決を下していたでしょうか?将来的に医薬品にも化粧品にも関係のない訴訟で判決が裁判所によって支持され、順守されるか否かを見守る必要があります。

裁判所の判決が、タイ商標委員会がめったに不使用取消を付与せず、商標登録人が有利になるように判断するという不使用取消問題に関する従来の保守的な傾向を覆すことを切に願います。一連の判決は、登録人が登録商標を巡る権利を行使し続けたい場合、「商標を使用する意思を持っている」または「商標を放棄する意思を持っていない」と単に主張するのではなく、実際に商標を使用しなければならないという重要な先例を確立しました。

したがって、ブランド所有者は、独自の登録商標の使用を開始し、自社の商標を有効なまま維持してタイでの保護を受けるためには、記録された証拠を収集することを推奨します。

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