知的財産権の保護のために行われた
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知的財産権の保護のために行われた

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最近の立法および制度改善に関する概括的ご紹介

最近、韓国では知的財産権の実質的かつ効果的な保護のために一連の法改正と制度改善が行われてきた。本稿では、このような改正及び改善事項について簡単に紹介する。

懲罰的損害賠償及び特許権者の生産能力を超過した損害賠償の拡大の導入

2019年7月より施行された特許侵害に対する懲罰的損害賠償は、近年、韓国の知識財産権制度において最も大きな変化をもたらした制度の一つであるといえる。韓国特許法に新たに導入された懲罰的損害賠償条項によると、故意による特許侵害に対して最大3倍の損害賠償を請求することができる。このような懲罰的損害賠償額を判断する際、法院は、(ⅰ)侵害者の優越的地位の有無、(ii)損害発生の憂慮を認識した程度、(ii)特許権者の被害規模、(iv)侵害者が得た経済的利益、(v)侵害行為の期間及び回数、(vi)侵害行為による罰金、(vii)侵害者の財産状態、(vii)侵害者の被害救済の努力の程度など多様な要素を考慮しなければならない(ただし、未だに懲罰的損害賠償を認めた法院の判決は出ていないものの、これは賠償額増額にあたって考慮すべき前記要素の中に主観的な内容が含まれており、保守的な法院が消極的に取り組むためであると推定される)。

なお、2020年12月から施行された改正特許法により、特許権者の生産能力を超える侵害者の製品販売に対しても損害賠償を請求できるようになった。既存には特許侵害に対する損害賠償の算定が逸失利益の算定方式に従ったため、侵害者の販売数量が特許権者の生産能力を超過する場合、自分の生産能力を超過する分量に対しては損害賠償を受けられないという限界があった。改善された算定方式は特許権者が前記のような限界を克服して拡大された損害賠償を請求できることを許容した。

前記と類似した趣旨の懲罰的損害賠償制度は商標法、デザイン保護法、不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(「不正競争防止法」)など他の知的財産権法分野にも拡大適用された。

特許侵害罪が「親告罪」から「反意思不罰罪」(被害者告訴なし)に変更

一般需要者の利益保護という公益的側面のため、商標権侵害罪は親告罪ではなく反意思不罰罪であり、告訴がなくても刑事手続を開始することができるが、特許侵害罪は警察や検察捜査が開始されるためには特許権者の告訴があるべきであった。ところが、2020年10月からは特許権者の告訴がなくても、特許権者の明示的な反対意思がない限り、捜査機関が職権で特許侵害事件に対する捜査を進行することができる。特に、このような特許法改正により、特許庁の特別司法警察が特許侵害事件に対してより積極的かつ能動的に捜査を開始できるきっかけとなった。

デザイン保護法及び実用新案法も同旨で改正されたため、特許、実用新案、商標、デザインなど産業財産権に係る犯罪に対して刑事告訴がなくても刑事手続を開始することができる。

不正競争防止法上のアイデア奪取行為禁止制度の強化

2021年4月より施行された、改正された不正競争防止法は、故意によるアイデア奪取行為に対する懲罰的損害賠償制度を導入し、行政庁の是正勧告権限を拡大した。

2018年の不正競争防止法の改正により新設された「アイデア奪取行為」は、取引過程で取得した他人の技術上・営業上の情報をその提供目的に反して使用、または、第三者に提供して使用させる行為をいうものであるが、既存にはアイデア奪取行為による損害賠償が損失利益を基準に算定されたため損害賠償額が十分でないという限界があった。このような限界を解決するために、改正された不正競争防止法は、懲罰的損害賠償を導入し、実際に発生した損害の最大3倍まで賠償を請求できるようにした。また、アイデア奪取行為に対する行政庁の行政調査及び是正勧告権限を拡大し、違反企業が是正勧告を履行しなかった場合には、行政庁が違反行為の内容及び是正勧告事実などを公表することができるようにした。

ただし、前述のような改正にもかかわらず、行政庁の是正勧告は強制力がなかったため、依然として限界があったことが事実であった。実際、2018年から2023年5月まで特許庁が是正勧告したアイデア奪取事例は6件であったが、違反企業が自発的に是正勧告を履行した件は2件に過ぎなかった。

ここに、特許庁は去る6月、改善された技術奪取防止対策として、是正勧告ではなく是正命令制度を導入すると共に、不履行時には過料賦課制度を導入する計画であると発表した。また、アイデア奪取事件を優先的に処理する迅速調査体系を備えて、現在11ヶ月かかるアイデア奪取の行政調査期間を6ヶ月に大幅に短縮すると発表し、アイデア奪取行為事件の迅速な被害救済のため、「産業財産紛争解決総合支援センター」を設置し、さらには、紛争調停および特別司法警察(技術警察)の捜査を前記改善された行政調査と連携する予定であると発表した。

調停による知的財産権紛争の解決

知的財産権紛争を解決するためには相当な費用と時間、資源が所要され、特に資源確保が難しい個人や中小企業の場合、紛争解決に多くの困難がある。ここに、特許庁は特許、商標、デザイン、実用新案、営業秘密、不正競争行為、職務発明など知識財産権関連紛争の当事者ならば誰でも利用することができる「産業財産権紛争調停委員会」を運営し、訴訟で発生する経済的・時間的負担を減らし産業財産権紛争の迅速かつ公正な解決を支援している。

産業財産権紛争調停制度は1995年から運営されてきたが、初期には低い認識でその利用率が低かったが、2023年4月の特許庁の発表によると、紛争調停申請件数が2019年45件から2022年76件で最近4年間年平均19%ずつ増加しており、2023年12月には紛争調停申請件数が100件を突破すると予想されるそうである。また、同期間の調停成立率も4年平均66%に達するなど紛争解決の効果も高いことが分かった。

最近5年間(2019~2023.4.21)の調停申請及び処理現況

 

2019

2020

2021

2022

23.4.21

Total

申請

45

70

83

76

38

312

処理

現況

成立(A)

19

32

38

35

6

130

不成立(B)

調停案不受容

2

5

4

5

 

16

意見の不一致

8

17

10

15

3

53

小計

10

22

14

20

3

69

調停不応

15

16

31

19

4

85

取下げ

1

 

 

2

 

3

進行中

 

 

 

 

25

25

成立率(A/(A+B))

66%

59%

73%

64%

67%

 

なお、最近5年間(2019~2023.4.21.)企業分類別の申請現況をみると、申請件数の計312件のうち個人と中小企業の申請が297件(=269+28)で95%に至るなど中小企業の活用度が高いことが分かった。

最近5年間(1999~2023.4.21)の申請人分類別の申請現況(年度別)

 

2019

2020

2021

2022

2023.4.21

Total

大企業

 

 

1

 

 

1

中堅企業

 

1

1

 

 

2

中小企業

35

59

71

73

31

269

個人

9

8

6

3

2

28

その他

1

2

4

 

5

12

合計

45

70

83

76

38

312

前記結果は、産業財産権紛争調停制度利用の際に平均2月以内に事件が処理され、別途の申請費用がなく、過程も複雑ではないため、資本力が不足した中小企業も容易に利用することができるためであると分析される。

特許庁特別司法警察(技術警察及び商標警察)の顕著な成果

2010年から商標侵害犯罪を捜査してきた特許庁の特別司法警察は2019年3月から特許、営業秘密、意匠の侵害罪まで捜査することができることになった。これにより、偽物等、商標の侵害罪に限られていたKIPO特別司法警察の業務範囲が大幅に拡大された。

特許、営業秘密、意匠侵害であるか否かを判断するためには、知的財産法についての高度な専門知識が必要であるし、特許、営業秘密は関連技術に係る専門知識がなければ申告の内容すらまともに理解することが難しい。そこで500人以上の理系博士号の所持者を含め、技術と知的財産法についての専門性を兼ね備えた1,200人余りの審査、審判人材等の最高の専門家が集まる韓国特許庁が、迅速かつ的確に侵害の成否を捜査することで、侵害による犯罪の被害に逢った個人や企業を効果的に救済することができる。

このような期待に反しないように、特別司法警察は発足以後から今まで大きな成果を上げたが、一例として2019年4月から2022年まで特別司法警察の技術警察は計650件の事件を処理し1,333人の侵害事犯を刑事立件する成果を収め、特別司法警察の商標警察は2010年から2022年までの12年間に偽造商品製造および販売嫌疑で4,600人余りの侵害事犯を刑事立件し、計1,200万点以上の偽造商品を押収することで、名実共に知識財産の守り人として位置づけられた。

特別司法警察(商標警察)の成果

 

2001~2018

2019

2020

2021

2022

Total

刑事立件(人)

2,744

376

617

557

372

4,666

押収物品(点)

5,141,270

6,269,797

720,471

78,061

383,061

12,585,182

特許庁は2021年7月からは特別司法警察が属した既存の産業財産調査課を技術警察課(技術捜査専担組織)、商標警察課(商標捜査専担組織)および不正競争調査チーム(行政調査)に拡大し、技術捜査人材を補強し、特に技術流出などの営業秘密侵害を防ぐための役割に力を入れているところ、営業秘密侵害に対する立件件数が2020年には9件であったが2021年には68件に急増した。

特別司法警察の優れた成果に照らしてみると、今後その役割がもっと重要かつ拡大されるものと予想される。    

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