商標所有者が知っておくべきこと:フィリピン商標登録の概要
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商標所有者が知っておくべきこと:フィリピン商標登録の概要

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著者: Editha R. Hechanova, Noemi P. Rivera, Joy Marie G. Tolentino HECHANOVA GROUP

1. 国内ではどのような法律により商標が規定されていますか?

フィリピンでは、共和国法第 8293 号またはフィリピンの知的財産権コード(以下「IP コード」)により商標が規定されています。

2. フィリピンでは、どのような人が商標を登録できますか?

自然人および法人が商標登録を出願することができます。フィリピンに居住していない場合、出願者は、商標に関係する手続きの通知や処理を行う居住代理人を任命する必要があります。なお、この任命にあたっては、署名付きの委任状(POA)が必要になります。商標は、複数の名前で出願することも可能です。この場合、出願者は商標の共同所有者として扱われます。

3. フィリピンでは、どのようにして商標登録を取得できますか?

商標の出願は、次のいずれかの方法で行うことができます:

a. フィリピン知的財産庁(以下「IPOPHIL」)に直接出願する(国内出願)。

b. マドリッドシステムでフィリピンを指定する。

4. 商標を登録するには、どのような情報や文書が必要になりますか?

a. 署名付き委任状。公証や公認は不要です。

b. 法人の場合、出願者名、法人の国名、主たる事業所の名称。

c. 対象となる物品またはサービスの一覧表。

d. 商標のイラスト(使用する場合、サイズ:1 MB 以下、形式:JPG、寸法(インチ):2 x 3)。

e. 請求する色(もしある場合)。

f. 3 次元の場合、これに関する数値。

g. 優先度の高い請求がある場合、優先度の高い出願の出願日と、出願が提出された国または知的財産庁。

5. どのようなものが商標として登録できますか?

商標として登録できるのは、トレードマークやサービスマークなど、企業の商品やサービスを識別できるような、目で見てわかるシンボルです。商品に使用される容器のスタンプやマークも商標として登録できます。

6. 従来的なマークの商標以外で、国内で登録できるものはありますか?

現在の IP コードでは、音、香り、手触り、味など、目には見えないの知覚的なものは登録できません。ただし、従来的な商標以外のものでも、3 次元商標、位置商標、ホログラム、動作商標などは、商標として登録が可能です。

7. どのようなマークが登録の対象外になりますか?  

商標登録の対象外になるマークについては、IP コードにてさまざまな規定があります。トレードマークが、IP コードのセクション 123 にある絶対的事由または相対的事由のいずれかに該当する場合、商標として登録できません。マークが不道徳的、一般的、描写的、非特有的、慣習的な場合、拒絶される可能性があります。これは、絶対的事由に該当します。一方、マークが、以前に登録されたマーク、先に提出されたもしくは優先的に提出されたマーク、国際的にもフィリピン国内でもよく知られているマークと類似または同一であることにより混乱を招くものである場合、相対的事由に基づき、登録が拒絶される場合があります。

ただし、IP コードのセクション 12 では、派生的意味や獲得された識別性の概念が認められています。したがって、登録出願するマークが、フィリピンでの商業的使用により商品を識別できるようになっている場合、マークが描写的で、商品の形や色から成るものであっても登録できることがあります。これについては、識別性を主張した時点で、フィリピン国内で 5 年以上の広範な商業的使用が立証されれば、マークが識別性を有していることを疎明する証拠として認められる場合があります。

8. 優先権の請求はどのように行われますか?

優先権の請求出願は、最初の外国出願が提出された日から 6 か月以内に提出する必要があります。出願または登録の事実が、最初の出願を行った外国知的所有権官庁の公式ウェブサイトで確認できる場合、出願者は、優先権の基礎となる外国出願または登録の認証謄本を提出する必要はありません。それ以外の場合、出願者は、外国登録の英語版コピーを提出する必要があります。

9. 商標登録の取得にはどのくらいの時間がかかりますか?

異議や反対もなく登録がスムーズに行われれば、商標は出願提出日から 2~3 か月以内に登録されます。ただし、登録証明書

(COR)の原本を実際に発行するには、時間がかかる場合があります。COR の発行は、平均的に登録日から 3~6 か月程度かかります。

10. 商標の出願や登録には、使用証明書が必要ですか?

出願を提出する際、実際の使用に関する証拠は必須ではありませんが、出願者は、規定で定められた期間内において使用要件を遵守する必要があります。実際の使用の宣誓書(Declaration of Actual Use : DAU)には次の 4 種類があり、出願や登録が有効であることを確認するために提出されるものとなります:

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11. 商標所有者が上記 DAU のいずれかを提出できなかった場合、どうなりますか?

上記 DAU のいずれかを提出できなかった場合、商標が登記簿から削除されることになります。商標が出願者または登録者により放棄されたり、DAU の未提出により登記簿から削除されたりした場合、復活させることができなくなります。商標保護を常に徹底するには、新しい出願書での提出を強くお勧めします。

12. 出願者が不使用の宣言書(DNU:Declaration of Non-Use)を提出するのは、どのようなときですか?

商標の不使用は、商標所有者の意思に関係なく、状況に起因して認められる場合があります。例えば、(i)他の政府機関により使用が禁止されている場合、(ii)裁判所または準司法機関が発行した禁止命令や差し止め命令により商標の使用が禁止されている場合、(iii)商標が、対立や中止の原因になっている場合が挙げられます。

13. 商標登録の保護期間はどれぐらいですか?更新出願の猶予期間はありますか?

10 年です。10 年ごとに更新が可能で、5 年目の DAU および中間更新 DAU の提出が必要になります 。更新の要求は、登録の発行または更新期間が満了する 6 か月以内であればいつでも行うことができます。また、追加手数料の支払期日後 6 か月以内に行うこともできます。更新出願の提出に関しては 6 か月の猶予期間があります。

マドリッドルート経由で提出された出願に関する FAQ

14. マドリッドルート経由で提出された商標に関する 3 年目の DAU 期日の起算日はいつになりますか?  

最初からフィリピンを指定していた場合、起算日は国際登録日(記載されている出願日)になります。最初からフィリピンを指定せず、フィリピンを事後指定した場合は、事後指定した日が起算日になります。

15. 3 年目の DAU が提出されていない場合、マドリッドシステム経由で提出された商標を復活させることはできますか?

3 年目の DAU が提出されず、商標が登記簿から削除された場合、同じ商標を復活させることはできません。ただし、登録者は次のオプションを使用しておけば、対象の商標に対する保護を維持することができます。

オプション 1 - 登録者が最初に手続きを行った事務局(マドリッドシステム)を通じて、フィリピンでの IR の事後指定を国際事務局に提出する。

オプション 2 - 対象の商標に関する新規出願を国内ルートでフィリピン知的財産庁に「直接提出」する。

マドリッド経由での商標再指定と、国内ルートでの商標再提出のいずれかであれば、オプション 2 を利用するか、国家ルートで再出願して、対象商標の登録をスムーズに行うことを推奨します。なお、登録者が対象商標を再指定することにした場合でも、手続き元の事務局や国際事務局をはじめ、最終的には IPOPHL により審査されることになります。IPOPHL による出願の審査は、事後指定の記録に関する国際事務局からの通知の受領を以てのみ行われます。

16. 暫定拒絶への応答後、IPOPHIL に対する支払や提出はありますか?

更に支払や提出を求められることはありません。出願を WIPO に提出した時点で、認可および発行に関する手数料がすでに支払われているため、認可 / 発行に関する通知も発行されなくなります。

17. マドリッドルート経由で提出された商標に対する異議がない場合、IPOPHIL はどのような通知を発行しますか?

保護認容声明

18. 暫定的拒絶について、唯一の問題が免責事項や色彩請求に関する説明で、かつ、拒絶への未応答に関して、免責事項が自動的に入力され、商標がカラーで公開されることになっていることが審査官に指摘されていた場合でも、応答を提出する必要がありますか?出願は、応答の未提出により放棄になりますか?

その場合、応答を提出する必要はありません。しかし、応答を提出する場合、委任状の提出と併せて提出することを強く推奨します。これにより、地域エージェントが記録され、今後において通知が直接送付されることになるからです。出願者が地域エージェントを有している場合、出願のステータスをフォローアップしやすくなります。また、逆のケースとしては、出願者は地域エージェントを通じて通知を受けることができるようになります。さらに、地域エージェントを有する他のメリットとしては、保守要件の提出に関する通知をタイムリーかつ確実に送信できるようになることです。

商標事例における最近の展開

19. どのような人が商標出願への異議申し立てをする可能性がありますか?商標への異議申し立てができる期限はいつですか?

商標登録により損害を受けると思われる人が、必要な手数料の支払において、IPOPHL の地方法務局(BLA:Bureau of Legal Affairs)に出願への異議申し立てをする可能性があります。異議申し立てをする場合、E-Gazette での公表日から 30 日以内に行う必要があります。1 回限り、45 日間の延長が可能です。また、この期間には、取り消し処理や、応答者による検証済みの応答の提出も含まれます。旧規則では、30 日間の延長が 3 回、計 90 日間の延長が可能でした。しかし、期間が短縮されたことで登録処理の時間が短くなり、問題解決が迅速化しました。

20. 先使用者と先願者では、どちらが商標において有利な権利を有していますか?

Zuneca Pharmaceuticals と Natrapharm Inc. の歴史的な訴訟で最高裁判所は、商標の所有権は IP コードに基づき正当に行われた登録を以て取得するものと明確に述べ、Berris Agricultural と Abyadang(G.R. 183404)や、E.Y. の訴訟事例での裁決(2010 年初頭)を覆しました。Industrial Sales と Shen Dar Electricity and Machinery(G.R. 184850)の事例では、マークの先使用者の権利は、類似商標の先願者の権利より優先されると宣言されました。

21. 商標の類似性を判定する上で、裁判所ではどのようなテストが行われるのですか?

競合するマークが類似しているかどうかを判定する方法として、(i)主要部分テストと(ii)全体評価テストの 2 つのテストが採用されていました。最近の Kolin Electronics Co., Inc. と Kolin Philippines International, Inc. の訴訟事例では、最高裁判所が全体評価テストの実施を断念しています。 主要部分テストは、IP コードに組み込まれている唯一のテストであるため、優先的に行われているテストになっています。 このテストでは、競合他社の商標が持つ一般的な特徴が、混乱や詐欺の原因となり得るような類似性を有しているかどうかに焦点を当てます。競合する商標において、他社の中心的な特徴や重要かつ目立つ特徴が含まれ、混乱や詐欺の原因となる可能性がある場合、侵害の発生となります。

Editha R. Hechanova(エディサ・R・ヘチャノバ) 氏は、非訟の知的財産業務を行う知的財産コンサルティング会社、Hechanova & Co., Inc.(ヘチャノバ&カンパニー)の社長であり、また訟務の知的財産業務や企業法務を行うHechanova Bugay Vilchez & Andaya-Racadio(ヘチャノバ・ブゲイ・ヴィルチェス&アンドヤ・ラカディオ)法律事務所の代表パートナーです。 Hechanova氏は、国境管理を含む様々な執行措置を開始しました。

Noemi P. Rivera(ノエミ・P・リベラ)氏は、Hechanova & Co., Inc.の商標担当部長兼ディレクターです。Rivera氏は、Ateneo Graduate School of Business(アテネオ経営大学院)で経営学の修士号を取得した公認会計士、商標問題、税務、および評価に関するコンサルタント、さらに公認特許評価アナリストでもあります。 

Joy Marie G. Tolentino(ジョイ・マリー・ガボール・トレンティーノ)氏は、Hechanova & Co, Incの商標担当部長補佐で、Hechanova Bugay Vilchez & Andaya-Racadio(ヘチャノバ・ブゲイ・ヴィルチェス&アンダヤ・ラカディオ)のジュニアパートナーであり、当事者系商標事件を専門に扱っています。 Tolentino氏は、Arellano University(アレリャーノ大学)で法律の学位、St. Louis University(セントルイス大学)で教育管理の修士号を取得しています。

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